座布団のマナー 2

2.すすめられた座布団の座り方

続いて、客として招かれた時のマナーについてお話しします。

座布団があらかじめ用意されている場合

用意されている座布団の位置は、招待して下さった方の「この場所にお座り下さい」という意思の表れでもあります。ですから自分で勝手に移動させたり、座る時に引き寄せたりしてはいけません。 また座布団の前後・表裏が間違って置かれていたとしても、直したりせずそのまま座るようにしましょう。

同伴者が居る場合、上座・下座に気を付けて座るようにしましょう。
自分よりも目上の人がいる場合は、その人よりも下座に座ります。
逆にもっと上座に座るよう勧められた時は、遠慮なく上座に座りましょう。
変に遠慮して下座に座ると「すぐに帰ります」というメッセージになってしまいます。

座布団をすすめられたら

すすめられてもすぐには座らず、まずは畳の上に座ってあいさつをします。
立ったままのあいさつは、相手を見下ろすことになるので、必ず腰を落としてあいさつします。

あいさつをする場所は、座布団から下座(入口に近い方向)にあたる、横か後ろが適切です。
正座での挨拶は、畳の上に手をつき頭を低く下げます。頭を下げる角度は通常45度位。尊敬を示す場合は70度位に傾けます。

先に座布団に案内され、ご主人が後から来た場合は、いったん座布団から降りてあいさつをします。
座るタイミングは「座布団をすすめられてから」です。勧められるまでは自分からは座らず、逆に勧められたら断ったりせずに座りましょう。

座布団への座り方

まずは座布団の方向に身体を向けます。真横に座っている時は、45度ほど身体を向けると移動がしやすくなります。 そして両手を座布団の端につき、両膝を浮かせるようにして座布団の上に移動します。
手のひらで体重を支えきれない場合は、手を握りこぶしにしても構いません。
礼儀作法の流派によっては、座布団に手をつかずに太ももに手を置いたまま移動することをすすめるものもあります。

いずれの場合も一度に座ろうとせず、にじり寄るようにして中央に座るのがポイントです。
正座が苦手だという人は、足のゆび先を座布団の端に置くようにすると、しびれにくくなります。また膝をほんの少しだけ開き、足首と足首の間にお尻がくるようにすると楽に座れます。

正座を崩すタイミングは?

基本的には足を崩す行為はマナー違反です。会食の時や目上の方が話をされている時などは、「足を楽にしてください」と声を掛けられるまで、少々辛くても我慢します。
足が悪い場合やどうしても辛い場合は、事情を伝えお詫びをしてから、足を崩すようにします。

男性があぐらをかく場合は、上になる足を下座か、目上の人とは逆の方向にします。
女性の場合は下座に足をずらし、目上の人とは反対方向に崩します。

座布団から立ち上がる時

座布団の上に立つのはマナー違反です。したがって座布団から離れる時も真上に立たず、いったん下座に移動し、座布団の外で立ち上がります。

立ち上がる時には、膝をつけたまま腰を浮かせてつま先を立て、いったんかかとにお尻を降ろします。(※跪坐の姿勢です)
足がしびれている場合は、しばらくこの姿勢を維持し、ある程度しびれがおさまってから動いた方がいいかも知れません。「足がしびれた」などと騒いだりせず、しびれがおさまるのを待ちましょう。

座布団から降りる時は、膝をつけたまま下座側の足から後方に移動し、その後上座の足も降ろします。
座る時と同様、一度に降りようとせずに数回に分けて移動するとスマートです。